出せなかったファンレター

2chの狼スレで書いてあったものらしいですが、あまりにも感動したので転載させていただきます。



2026年4月、東京狛江 春、出会いの季節
人は一生に数え切れないほど多くの人と出会い、数え切れないほどの辛い別れを体験する
これはそんな『出会い』と『別れ』にテーマを絞ったドキュメンタリー小説です・・・


生徒A「ただいまー あー腹減ったー」
妻   「お帰りなさい、ご飯できてるから早く夕飯にしましょ」
俺   「今日は遅かったな」
生徒A「ああ、今日は新しいダンススクールの初レッスンだったんだ」
妻   「今度のダンスの先生はどう?いい人?」
生徒A「んー・・・何かちょっと変わってるw」
妻   「変わってる?」
生徒A「ああ。いちいち動きが面白くて喋りも舌っ足らずでおもしれーんだよw。『でぇごす』とか『〜しまった』とかさw」
俺   「・・・・」
生徒A「でさ、レッスンの合間に15分の休憩があるんだけど、タッパにかぼちゃの煮物を入れて持ってきて、初心者クラスの子達と一緒に食べてんのw」
俺   「・・・・」
妻   「へぇ。ちょっと変わってるわね。確か女の人だったよね」
生徒A「ああ、おばさんだよ」
俺   「・・・・どんな感じの顔してる?」
生徒A「顔?んーそうだなー、下まつげが異様に濃くて色白なのが印象的だな。あとエラも張ってるしw髪型は金髪に近い茶髪で、あと全体的にぽっちゃりしてる」
俺   「・・・・」
生徒A「何だよオヤジ、何か変だぞ」
妻   「真剣な顔しちゃって、何かあったの?」
俺   「・・・いや、何でもないよ」


俺   「タカシ、ちょっといいか」
生徒A「オヤジ?何だよまた説教か?俺なんにもしてねーぞ」
俺   「いや、違う。説教なんかよりもっと大事なことだ」
生徒A「何だよ何の話だよ?」
俺   「・・・実は、お前の今度通うことになったダンススクール、名前何ていったっけ?」
生徒A「?『狛江ジュニアダンススクール』だけど?」
俺   「そのダンススクールのパンフレットか何かあるか?」
生徒A「パンフレットぉ〜?んなもんあるわけないだろ?入校案内ならあったけど」
俺   「それでいい。ちょっと見せてくれないか?」
生徒A「んだよめんどくせーな・・・確かかばんの中に・・・ああこれだ、ホラ」
俺   「・・・・(やっぱりマコだ)」


         □入校案内 ”狛江ジュニアダンススクール”□
〜明るく楽しいダンススクールです。ダンスに興味のある子は集まれ!〜
・対象年齢    小学校4年生〜高校3年生
・指導要領    ダンスを好きになってくれるような楽しい指導を心がけています
・生徒数      64人(2026年5月現在)
・室長兼指導者 小林麻琴
・指導者略歴
 1987年新潟県生まれ
 小学校6年生の時にダンスを始める
 2001-2006年芸能界で5年間活動した後、1年間カナダへ語学留学
 2007年ニューヨークへ渡り、4年間ダンスを学びつつダンサーとして活躍
 2011年帰国後ダンスグループ「Little Cats」を結成
 2012年結婚
 2016年福岡オリンピック閉会式の振り付けを担当
 2020年本校開校
・室長から一言 「みなさん、楽しく元気にダンスしましょ〜」


                       東京都狛江市○○△△△
                           代表 小林麻琴


俺  「・・・・(あの後芸能界引退して全く消息分からなかったけど、まさかこんな近くでダンス教室やってるなんて・・・そうか、あの後NYでダンスレッスンしてたのか・・・ん?・・・福岡五輪の閉会式?凄いな・・・へぇ今は小林って言うのか・・・あのミスプリントの通りになってやんのwちょっと笑えるw。それにしてもあの頃と全く変わってないなw楽しそうな教室だw)」
生徒A「オヤジ?どうしたんだよ、さっきから何かおかしいぞ」
俺   「お前にいいものを見せてやろう ちょっとこっちへ来なさい」
生徒A「何だよいいものって?」
俺   「・・・あったあった、これだ」
生徒A「何だよコレ?アイドルの写真集・・・?プッwオヤジこんなもの持って・・・ん?・・・コレってまさか・・・」
俺   「そうだ、小林先生の昔の写真集だ」
生徒A「エーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!マジかよ!!!!!!すげぇ!何だこりゃ!!」
俺   「小林先生はな、昔アイドルやってたんだ 『モーニング娘。』って知ってるか?」
生徒A「モ、モーニング?・・・あ、ああ・・・TVの懐かし映像でやってた・・・『にっぽーんの未来は』ってやつだろ?」
俺   「そうだ そのモーニング娘。の一員だったんだ」
生徒A「マジかよ 何か信じらんねー・・・」
俺   「ウソじゃない よく見てみろ、似てるだろ」
生徒A「いや、似てるも何も何も変わってねーよwつかこれ先生が幾つの時に出したんだ?」
俺   「17歳だな」
生徒A「俺とタメ年か・・・どれどれ・・・おお、水着がw」
俺   「なかなか可愛いだろう」
生徒A「ふふ、オヤジも若い頃はコレを見て色々やってたんだなwww」
俺   「・・・お前、普通親に向かってそんな事言うかwお母さんには内緒だぞw」
生徒A「ああ、分かったよw」


[スクールにて]
生徒A「おい、小林先生って昔アイドルだったらしいぞ」
生徒B「ウソだろwあの人食べ物の話しかしないだろw」
生徒A「イヤ、マジなんだって 俺のオヤジ昔ファンだったらしくて写真集とか持ってんだよw」
生徒B「小林先生の写真集か〜怖いもの見たさで見てみたいなw」
生徒A「それがさ、俺も見せてもらったけど結構可愛いのよ、17の時の小林先生」
生徒B「へぇーマジで?じゃぁ今度持ってきて先生に見せてみようぜw絶対面白いぞw」


[自宅にて]
俺   「今日のレッスンはどうだった?小林先生は元気だったか?」
生徒A「ああ、いつもどおり変な動きしてるよ」
俺   「そうか(マコ頑張ってるな)」
生徒A「でさ、今度あの写真集貸してくれよ 先生に見せて脅かしてやるんだけど」
俺   「・・・・よし、ちょっと待ってろ」
俺   「これを持って行け それからこの封筒は開封するんじゃないぞ 先生に渡せ」
生徒A「?封筒?」
俺   「いいからそのまま渡しなさい」


[スクールにて]
小林 「はぁ〜い、きょーはここまでぇ〜みんなおつかれ〜」
生徒A・生徒B「センセ〜、これ何だろ〜wwwww」
小林 「!!!!!ちょ、ちょ、ちょっと!!アンタたち何でこんなの持ってるの!?」
生徒A「へへ〜 俺のオヤジが昔先生のファンだったんだってさ」
生徒B「まさか先生が昔アイドルやってたとはねw コレ表紙水着じゃん?」
小林 「・・・いやぁ〜wやめてぇ〜ww[顔真っ赤]」
生徒B「[写真集を開いて] うわっまぶし〜先生の水着姿まぶしすぎるよぉ〜wwww」
小林 「[顔真っ赤] ・・・ヤダーもー!恥ずかしー!ダメェー!! [写真集を奪い取る]」


[封筒が落ちる]
小林 「アラ?これは・・・?」
生徒A「ああ、それオヤジが先生に渡せって」
小林 「・・・アラ、そう[封筒をトレーニングウェアのポケットへ]」


小林 「ただいま〜!」
旦那 「おう、お帰り ん?何か今日は嬉しそうだな」
小林 「デッヘッヘ ちょっとね〜w」
息子 「ママーおかえりーお腹減ったー」
小林 「よしおちゃんただいま〜 ごめんねぇ、ご飯はちょっと後にしてね〜」
息子 「えー」
旦那 「何だよ早くメシにしてくれよ」
小林 「すぐ作るからちょっとだけ待っててね〜」


[部屋へ]
小林「(この封筒・・・中に何か入ってる・・・ん?手紙?それと・・・)」


[封筒には一通の手紙が入っていた]
小林「(タカシ君のお父さん、モー娘。時代の私のファンだって言ってたっけ・・・『出せなかったファンレター』・・・)」


2006年8月27日
まこっちゃん


ミュージカル千秋楽お疲れ様
まこっちゃんの最後の晴れ舞台、この目でしかと見届けました
最後のまこっちゃんの姿はこの5年間で最も輝き、そして最も美しかったです


突然の卒業発表から4ヶ月、まこっちゃんとの最後の思い出の時はすぐに過ぎ去り、もうすぐ最後のお別れの時がやって来ます
まこっちゃんのいない日常を考えると胸が張り裂けそうです


思えばこの5年間、俺はまこっちゃんだけを見てきました
まこっちゃんとの数々の素晴らしい思い出、絶対に忘れません


あの日まこっちゃんモーニング娘。に受かった時のまこっちゃんの感動の涙、忘れません
あの日の初めてのまこっちゃんのコンサート、忘れません
あの時MCでまこっちゃんが俺たちに初めてかけてくれた言葉、忘れません 「超緊張ド緊張、でも皆さんの愛が沢山伝わってきます!サイコー!」
あの日富士山に上った日、高山病になりながらも登頂を目指したまこっちゃんの一生懸命な涙、忘れません
あの日ボイスレッスンで菅井先生に厳しい言葉をかけられて悔し涙を流したまこっちゃんの悲しむ顔、忘れません
あの日ピーマコで俺たちに見せてくれた愉快な動きと楽しい司会、忘れません
あの日コンサートで見せてくれた切れのあるダンス、忘れません
あの日歌番組で見せてくれた数々の名場面、忘れません 『でぇごす』『おーへっ』口ぽかーん、全て忘れません
あの日椅子に座りながらも歌番組で歌を歌い上げたまこっちゃんの強い眼差し、忘れません


そして今日、俺たちに見せてくれた最後のまこっちゃんの笑顔と涙、一生忘れません
全てのまこっちゃんとの思いでが一つ一つ俺の心の中にしっかりと息づいています
だからまこっちゃん、君はどんな時も一人じゃない
まこっちゃんがどんな境遇に陥ろうとも、俺たちファンはまこっちゃんの味方です


俺たちにとってまこっちゃんは太陽です
そこにいるだけで周りを幸せにして、周りに笑顔を振りまいて、周りに好かれて
そんなまこっちゃんが大好きです
別れの時は悲しいけど、ファン一同まこっちゃんを暖かく送り出そうと思います


最後に
まこっちゃん、思い出をありがとう


小林「[涙が落ちる] ・・・う・・うぅ・・・思い出しちゃったよ・・・あの最後のミュージカルの日・・・」





2006年8月27日ミュージカル『リボンの騎士』千秋楽終了後楽屋裏にて


[全員で抱き合う]
高橋 「[号泣] まこっちゃ〜ん、寂しいよぉ〜いっちゃいやだよ〜ウワァァァァン」
新垣 「[号泣] まこっちゃん、私、もう分かんないよ・・・嫌だよ別れるなんて」
石川 「[号泣] 麻琴〜ヾ£#★¶ [声にならない]」
辻   「[号泣] マゴド〜いや、いや、いや、いや、いや、行っちゃいやぁ〜!やだ〜!!!!」
亀井 「[号泣] グスン・・・グスン・・・ [声にならない]」
道重 「[号泣] まこっちゃん・・・絶対お手紙書いてね・・・絶対だよ」
田中 「[号泣] まこっちゃ・・・うう・・・グスングスン」
藤本 「[号泣] マコトぉ・・・寂しくなるよぉ・・・絶対帰って来いよ・・・絶対だぞ・・・」
久住 「[号泣] ・・・小川さん・・・ [声にならない]」
小川 「[号泣] みんなぁ〜ありがとう・・・私、頑張るからねぇ〜」
スタッフ「ホラ小川、吉澤のところにも行ってあげて」


[離れたところで腰に手を当て天井を見ながら一人壁に背を向けている吉澤]
小川 「[号泣] 吉澤さん、いままで本当にありがとうございましたっ」
吉澤 「[振り返ると目には涙が] 麻琴っ [振り返りざま麻琴を抱きしめる] 麻琴・・・向こうに行っても変なモン食うんじゃないぞ・・・カラダには気をつけろよ・・・寂しくなったらいつでも電話していいんだからな・・・」
小川 「[抱き合ったまま号泣] よ、吉澤さぁーーーん・・・・」


[家に着く]
母親 「麻琴、最後の公演凄く良かったよ お父さんも、ホラ」
父親 「[照れながら] あ、麻琴、よく頑張ったね」
母親 「もう、それしか言えないんだから・・・そうそう、部屋に沢山届け物があるから見てきなさい」
小川 「え?何?」
母親 「とにかく、見てみなさい」


[部屋には”まこっちゃん卒業おめでとう”と書かれた花束と”ファン一同より”と書かれた1.5m×1.5mのサイン色紙があった]
小川 「(凄い・・・こんなにいっぱいメッセージや写真やグッズや・・・ん?・・・スタッフさんから書置きがある)」


[スタッフの書置き]
             〜 小川、卒業おめでとう 〜
これはファンの人たちが小川のために作ってくれたサイン色紙と花束です。いつもならこういうものは本人には届けてはいけない事になっているんだけど、今回は規模が規模だけに上層部と相談の結果、特別に本人に手渡すことになりました


小川 「[号泣] ううぅぅ・・・ありがとう・・ありがとうございます・・・私、本当に幸せです・・・」
母親 「麻琴、いいファンの人たちね」
小川 「うん・・・。」
母親 「麻琴、モーニング娘。に入って良かった?」
小川 「うん。私、モーニング娘に入って、世界で一番幸せな時間を過ごせたよ」
母親 「そう。じゃぁ旅立ちの準備をしましょう」





俺   「タカシ、封筒ちゃんと渡したか?」
生徒A「ああ、バッチリ渡しといたよ」
俺   「そうか ありがとな」


俺は財布の中にある一枚の写真を取り出した。加工をして20年間大切にしてきた俺のお守りだ。必要ないだろう。俺は清々しい気持ちのまま写真を多摩川へ投げ入れた。俺の25年間のヲタ生活はここで終了した。


『出せなかったファンレター』



どこのどなたが書かれた者かは知りませんが、これを書かれた方は素晴らしい方だと思います。マコヲタの方々の気持ちが痛いほどに伝わってきて・・・同時に自分の胸も苦しくなって、自然と涙も出てきて・・・。
青空のOPVだったり、こんな小説だったり、卒業が近づいたからこそ作られたものなんでしょうが、逆に、卒業が無かったらもし作られていても、自分はここまで感銘を受けないだろうし・・・。


こういったものを作ってくださった方々に対して、「手間隙かけてよくこんな金にならないもの作るよな」、と言う人がいます。
確かに、言いたいことはわからなくもないんですが、それはとても失礼なことであり、作ってくださった方々に対しての侮辱以外の何物でも無いかと思います。あくまで個人的な考えではありますが、自分たちは作ってくださった方々に対して感謝するのが当然であって、こんな失礼な意見を吐くなんてありえないと思うんです。
まあ、それに対していろいろ書きたいことはあるんですが、自分も先ほど上の小説を読んだばかりで、まだまだ涙腺も緩んでいる状態なのでこの程度で。