デジタルブックス

Leaderさん(id:Leader)主催のデジタルブックスラクルショットセレクションという企画に参加してみようかと思います。
このての企画には未だ参加したことのない若輩者ではありますが、よろしくお願いしますm(__)m。




さて、とりあえず妄想モードで行ってもよろしいでしょうか?w
根っからの妄想族ではありますが、日記で妄想を晒すことはめったにないクチですので、若干抵抗はありますが・・・。




では、黒猫参ります


第3位 02 2点 


「今日も雨か」
憂鬱気味の俺は、教室でわいわい騒いでいる級友を尻目に、独り言を口にしながら廊下に出た。
1学期も終わろうとしている今は7月。夏の暑さと、やたらうるさいクラスに、俺は馴染めないままだった。
「晴れてるじゃん。天気予報でも、今日は晴れだって言ってたよ。ここの所3日間晴れ続きで暑いよね〜。」
声のする方を振り向くと、見慣れない女の子がいた。
俺が何気なく口にした独り言を、彼女はどうやら聞いてしまったらしい。
それにしてもかわいい女の子だ。俺はしばらく彼女の可愛さに見とれてしまった。
「ねえ、どうかした?悩み事でもあるの?」
彼女に見とれていたせいか、彼女が俺のすぐそばにきていることに、この言葉を聞くまで気がつかなかった。
「何でもない」
少し顔を赤らめ、元来た方向へと振り返り、教室へ戻ろうとした。そう、単なる照れ隠しである。
「あなたのこと知ってるよ。私、隣のクラスの久住小春。よろしくね。」
1学期ももう終わるこんな時期、少し暗い男の後姿に大きめの声で自己紹介をしてくれた彼女。周りの人からはどういう目で映ったのだろうか。
俺は振り向かず、一言名前だけを口にして教室に戻った。
その日、俺は彼女の姿、彼女の声が頭から離れることは無かった。
「久住・・・小春・・・。」




第2位 23 3点


夏休み。何もやることがないので、少しぶらついてみることにした。
「暑い。俺は何故こんな暑い中外に出ようなんぞ考えたんだろうか。クーラーの利いた部屋で昼寝でもしておけばよかった。」
そんな独り言をつぶやきながら、風景を見つめている俺。どうといったことは無い、普段から見慣れている、何の変化も無い海だ。
「今日も・・・」
「おーい!」
俺の独り言を遮るかのように、後ろの方から大きな声がした。
「やっぱり!また会ったね。」
自転車に乗っているかわいい女の子。夏休み前に一度学校で見たことがあったっけ。確か名前は・・・
「あれ、私のこと覚えてない?ショックだなぁ。私はずっと君のコト知っていたのに。隣のクラスの久住小春だって。ちゃんと覚えておいてよ。」
そう、久住小春だ。それにしても、俺も思い出そうとしているトコロだったのだが・・・。
「久住、何してるんだ?」
気まずくなるのを避けたつもりなのだろうか、口からお決まりの言葉が出た。
「小春でいいよ。ちょっとお散歩。そっちは?」
「暇つぶし。」
セリフの最後に、彼女から言われたように小春、と呼んでやるべきだったか、はたまた自転車に乗りながらだとお散歩とは言わないだろう、とつっこんでやるべきだったか、迷っていると、どちらも付け忘れてしまった。
「ねえ、ちょっと話さない?私の家この近くなの。」
「久住の家で?」
この殺風景を目の前に自転車に乗っている女の子にこの近く、なんて言われてもたいして近いとは思えないのだが・・・。とは言うものの、どうせ暇をもてあましていることだ、少し付き合ってやろう、と考えを改め、俺はこの暑さの中を20分以上歩くことを覚悟した。
「小春で良いって言ったじゃん。」
笑いつつも、少し怒っているような声で彼女は言った。そんなに気にすることだったのか?




第1位 45 7点


目を開けたら、見慣れないところにいた。仰向けの俺に屋根が見えているところを考えると、どうやら屋内ではあるようだ。
「起きた?」
隣で寝ているかわいい女の子が俺に話しかけてくれた。小春・・・だったけ。
「ごめんね。自転車が無かったらそんなに近い家でもなかったね。」
そういえば俺は小春の家に・・・・・・20分歩く覚悟はしたが、さすがに自転車のあとを1時間弱走るとは思ってもいなかった。
どうやら疲れて寝てしまったらしい。
「悪い、寝てたみたいだな。」
「ねえ、私の名前は?」
どうやら先ほどのことを根に持っているのか、寝起きの俺にいきなり自分の名前を聞いてきた。
「・・・久住小春。」
「大正解!!」
小春が俺の横で寝たまま、無邪気に喜んだ。
「可愛い・・・」
独り言はすっかり癖になっている。思ったことを何でも口にするのはどうかと思ったが、彼女にはしっかり聞こえたらしく、少し恥ずかしそうにしていた。
「ありがとう。」
彼女は照れながら言った。
すっかり彼女の魅力に取り付かれた俺は、すぐにでもこの場を立ち去った方がいい気がした。
「さて、帰るか。」
「ねえ」
彼女が呼び止めた。何を言おうとしているのか、俺にもわかった。
「付き合ってみようか。」
口を開き、彼女の言わんとしていることを俺から言ってやった。でも・・・どうせなら彼女の口から聞いたほうがよかったよな・・・。


「おはよう。」
9月、夏は明け、新学期を迎えた。
廊下であの子に挨拶された。
「おはよう。」
俺もちゃんと挨拶を交わした。
「新学期早々雨だね。」
確かに外は雨。あの日とは真逆だった。そして、俺の心も、あの日とは真逆で晴天。あの日抱えていた憂鬱なんかはどこにも無く、すっかり元気になっていた。
「ありがとう。」
彼女の笑顔は、どうやら人を元気にする力があるらしい。その笑顔に、彼女に、一言礼を告げたかった。
不思議そうな表情の小春を後に、俺は教室へ入っていった。




俺は、彼女に出合って変わった。彼女の笑顔があれば元気でいられる。
彼女を愛し続けれることが、自分にとって、きっと何よりの幸せなんだろう。